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特殊健康診断

特殊健康診断 

有害物質を取り扱ったり、リスクの高い作業を行う労働者に対する健康診断です。
作業、作業環境、特殊健康診断結果を関連づけ検討することで、作業による健康障害の防止、早期発見と対処,作業環境,作業方法の改善を目的として実施されるものです。

原則として、雇入れ時、配置替えの際及び6月以内ごとに1回(じん肺健診は管理区分に応じて1~3年以内ごとに1回)、それぞれ特別の健康診断を実施しなければなりません。

特殊健康診断を実施しなければならないとされている業務は、次の通りです。

法令による特殊健康診断 

 有機溶剤健康診断
有機溶剤を使用した業務に常時従事する労働者に対して行う健康診断
 鉛健康診断
鉛を使用した業務に常時従事する労働者に対して行う健康診断
 四アルキル鉛健康診断
四アルキル鉛などを使用した業務に常時従事する労働者に対して行う健康診断
 特定化学物質健康診断
特定化学物質を製造、取扱う業務に常時従事する(一部の物質は過去従事者で現在在籍)労働者に対して行う健康診断
 高気圧業務健康診断
高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者に対して行う健康診断
 電離放射線健康診断
放射線業務に常時従事、および管理区域に立ち入る労働者に対して行う健康診断
 除染等電離放射線健康診断
除染等の業務に常時従事する労働者に対して行う健康診断
 石綿健康診断
石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者、および過去に従事したことがあり現在在籍している労働者に対して行う健康診断
 酸等取扱い者の歯科健康診断
酸類の発生する場所における業務に従事する労働者に対して行う健康診断
 じん肺健康診断
粉じん作業に常時従事する労働者及び従事したことのある管理2又は管理3の労働者に対して行う健康診断

指導勧奨による特殊健康診断

情報機器作業、騒音作業、重量物取扱い業務、身体に著しい振動を与える等の特定の業務について、行政からの通達・指針等により事業主に健康診断を実施するように示されています。
実施件数の多い下記3項目について掲載します。他の対象業務はこちら。

指導勧奨による健康診断

 情報機器作業健康診断
情報機器作業に常時従事する労働者に対して行う健康診断
 振動業務健康診断
振動作業に従事する労働者に対して行う健康診断
 騒音作業健康診断
騒音作業に常時従事する労働者に対して行う健康診断

有機溶剤健康診断(有機溶剤中毒予防規則第29条)

有機溶剤業務に従事する労働者に対して雇い入れ時、当該業務への配置替え時及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に、次の項目について健康診断を実施しなければなりません。

必ず実施すべき健診項目

① 業務の経歴の調査

②作業条件の簡易な調査
③下記既往の調査

  ・有機溶剤による健康障害
  ・有機溶剤による健康障害の自覚・他覚症状

  ・下記⑤~⑧の異常所見

  ・下記⑩~⑬の異常所見
 ④ 自覚・他覚症状と通常みられる症状の有無の検査

《有機溶剤中毒予防規則別表に定められた有機溶剤について必ず実施すべき項目(下記表)
⑤ 尿中の代謝物量の検査
⑥ 肝機能検査(
ASTALTγ-GT
⑦ 貧血検査(赤血球数、血色素量)
⑧ 眼底検査(両眼)


医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目 】

⑨作業条件の調査

⑩貧血検査

⑪肝機能検査

⑫腎機能検査

⑬神経学的検査

検査項目が決まっている有機溶剤(有機溶剤中毒予防規則別表)

*上表の有機溶剤のいずれかをその重量の5%を超えて含有するものついては、各有機溶剤に指定された検査項目を実施しなければなりません

鉛健康診断(鉛中毒予防規則第5条)

鉛を使用した業務に従事する労働者に対しては、雇い入れ時、当該業務への配置替え時及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に次の項目について健康診断を実施しなければなりません。
 

【必ず実施しなければならない項目】

①業務歴の調査 

②作業条件の簡易な調査

③・鉛による自覚・他覚症状の既往歴の調査 

    ・血液中の鉛の量および尿中のデルタアミノレブリン酸の量の既往の検査結果の調査

④鉛による自覚・他覚症状

⑤血液中の鉛の量の検査 

⑥尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査


【医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目】

⑦作業条件の調査

⑧貧血検査 

⑨赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査 

⑩神経学的検査 

※⑤⑥の検査については、年2回のうち1回については医師の判断で省略することができます。
※はんだ付け、釉薬、絵付け、文選、植字作業は1年以内毎に1回、健康診断を実施しなければならないとされています。   

四アルキル鉛健康診断(四アルキル鉛中毒予防規則第22条)

四アルキル鉛業務に従事する労働者に対しては、雇い入れ時、当該業務への配置替え時及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に次の項目について健康診断を実施しなければなりません。
 

【必ず実施しなければならない項目】

①業務歴の調査 

②作業条件の簡易な調査

③四アルキル鉛による神経・精神症状の既往歴の調査 

④四アルキル鉛による自覚・他覚症状の有無の検査

*⑤血液中の鉛の量の検査 

*⑥尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査

前回健診時に受診しており、医師が必要でないと認める場合は*の項目は省略することができます。


【医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目】

⑦作業条件の調査

⑧貧血検査 

⑨赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査 

⑩神経学的検査 

※⑤⑥の検査については、年2回のうち1回については医師の判断で省略することができます。   

特定化学物質健康診診断 (特定化学物質等障害予防規則第39条)

業務への配置替えの際及び6ヶ月以内ごとに1回定期に実施しなければなりません。また、一部の化学物質については過去に取り扱ったことのある労働者についても同様の健康診断を実施しなければなりません。健診項目は下記の表で確認ください。

(2023-04-13・351KB)

高気圧業務健康診断(高気圧作業安全衛生規則第38条)

高圧室内業務または潜水作業に従事する労働者に対しては、雇い入れ時、当該業務への配置替え時及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に、次の項目の健康診断を実施しなければなりません。
 
【健康診断項目】
① 既往歴及び高気圧業務歴の調査
② 関節、腰もしくは下肢の痛み、耳鳴りなどの自覚・他覚症状の有無の検査
③ 四肢の運動機能の検査
④ 鼓膜及び聴力の検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 尿中の糖・蛋白の有無の検査
⑦ 肺活量の測定

電離放射線健康診断 (電離放射線障害防止規則第56条) 除染等電離放射線健康診断(除染電離放射線予防規則20条)

放射線業務に従事し管理区域に立ち入る労働者に対しては、雇い入れ時または当該業務への配置替え時及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に次の項目の健康診断をしなければなりません。

【健康診断項目】
① 被ばく歴の有無の調査
*② 白血球数及び白血球百分率の検査
*③ 赤血球数、血色素量またはヘマトクリット値の検査
*④ 白内障に関する眼の検査
*⑤ 皮膚の検査

*の項目については、医師が必要でないと認める際は省略できます。

石綿健康診断(石綿障害予防規則第40条)

石綿を扱っている方、あるいは扱っていた方に対し、雇入れ時、当該業務への配置換え時および6ヶ月以内ごとに1回、定期に健康診断を実施することとされています。

【健康診断項目】
① 業務の経歴の調査
② 自覚・他覚症状の既往歴の有無の検査
③ 自覚・他覚症状の有無の検査
④ 胸部のエックス線直接撮影による検査

酸等取扱い者の歯科健康診断 (労働安全衛生規則第48条)

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りん、その他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者に対して、酸蝕によって歯が傷んでいないかを確認するために、6ヶ月以内ごとに歯科医師による歯科健康診断を実施しなければなりません。 


【健康診断項目】
歯科医師による歯牙酸蝕所見の有無の検査

*当事業団では実施しておりません。実施については専門機関へお問い合わせください。

じん肺健康診断(じん肺法第3条、第7~第9条の2)

じん肺法施行規則別表で定められた粉じん作業のいずれかに常時、従事または従事したことのある労働者に対して、就業時、定期、定期外、離職時に、管理区分に応じて1~3年ごとに1回、健康診断を行わければなりません。

【健康診断項目】

1、全員

  ・粉じん作業についての職歴の調査

  ・エックス線写真による検査

2、胸部エックス線写真にじん肺の所見が認められる者に行う検査

  ・胸部に関する臨床検査
  ・既往歴の調査
  ・胸部の自覚・他覚所見の有無の検査
  ・肺機能検査(一側の肺野の1/3を超えるじん肺による大陰影の認められる者と合併症のある者を除く)

じん肺健康診断の種類・対象者と実施時期

注:じん肺の所見があると診断された場合には、労働局にじん肺健康診断結果とエックス線写真等を提出する必要があります。 これにより管理区分が決定されます。

じん肺管理区分表

情報機器作業健康診断(情報機器ガイドライン)

情報機器作業に常時従事する者、そうでない者で自覚症状を訴えるものに対しても、配置前及び1年以内毎に1回定期に健康診断を実施するよう通達されています。


【健康診断項目】
Ⅰ 配置前健康診断
 1.業務歴の調査
 2.既往歴の調査
 3.自覚症状の有無の調査::眼の疲れ・眼の乾き・眼の異物感・遠くが見づらい・近くが見づらい、首・肩のこり、頭痛、背中の痛み、腰痛、腕の痛み、手指の痛み、手指のしびれ、手の脱力感、ストレス症状等
 4.眼科学的検査
 (1)視力検査:5m、50cm視力の検査       
 (2)屈折検査*1
 (3) 眼位検査
   (4) 調節機能検査   
   (3)(4)は自覚症状により目の疲労を訴える者に対して追加
 5.筋骨格系に関する検査
   (1)上肢の運動機能、圧痛点等の検査*2
 ・握力検査
 ・指、手、腕等の運動機能の異常、運動痛等の有無
 ・筋、腱、関節(肩、肘、手首、指等)、頸部、腕部、背部、腰部等の圧痛、腫脹等の有無
    (2)その他医師が必要と認める検査
 
*1 問診において特に異常が認められず、5m視力、近見視力がいずれも、片眼視力(裸眼又は矯正)で両眼とも0.5以上が保持されている者については、屈折検査を省略しても構いません。
*2 問診において、当該症状に異常が認められない場合には、省略しても構いません。

Ⅱ 定期健康診断
 1.
業務歴の調査
 2.
既往歴の調査
 3.
自覚症状の有無の調査
 4.
眼科学的検査
  (1)視力検査:
5m、50cm視力検査 
  (2)眼位検査(40歳以上の方が対象です) *3
  (3)調節機能検査(40歳以上の方が対象です) *3   
  5.
筋骨格系に関する検査
  (1)上肢の運動機能、圧痛点等の検査*
     ・握力検査
  ・指、手、腕等の運動機能の異常、運動痛等の有無
  ・筋、腱、関節(肩、肘、手首、指等)、頸部、腕部、背部、腰部等の圧痛、腫脹等の有無
  (2)その他医師が必要と認める検査
    
 *3 医師に判断により実施します。自覚症状がなく問診において特に異常が認められず、5m視力、近見視力がいずれも、片眼視力(裸眼又は矯正)で両眼とも0.5以上が保持されている者については、
省略しても構いません。

 

振動障害健康診断

振動工具作業状況により、雇入れの際、配置替えの際及び6ヶ月に1回、または1年に1回定期(冬期)に、健康診断を実施する必要があります。

【健康診断項目】
第1次健康診断
・職歴などの調査:経験年数、使用工具の種類、作業状況など
・自覚症状の有無の調査(既往・歴現病歴などの問診) 
・診察(視診、触診) 
・運動機能検査:握力(瞬発握力、維持握力) 
・血圧測定 
・末梢循環機能検査:常温による手指の皮膚温・爪圧迫テスト
・末梢神経機能検査:常温による手指等の振動覚 

第2次健康診断 
・末梢循環機能検査:常温下および冷却負荷における手指の皮膚温・爪圧迫テスト
・末梢神経機能検査:常温下および冷却負荷における振動覚 
・運動機能検査:(握力、つまみ力、タッピング)
 

騒音健診(騒音障害防止のためのガイドライン)

騒音作業に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際または当該作業への配置換えの際、また6ヶ月に1回定期に健診を受診することを勧めています。また、離職時、騒音作業以外の作業への配置転換時も、離職時等の前6か月以内に定期健康診断を行っていない場合には、定期健康診断と同じ項目の離職時等健康診断を行うことが望ましいとされています。

【健康診断項目】

Ⅰ 雇入時・当該業務への配置替え時健康診断

    1 既往歴の調査

    2  業務歴の調査

    3  自覚症状及び他覚症状の有無の検査

    4  オージオメータによる250、500、1,000、2,000、4,000、6,000、8,000Hzにおける聴力検査

    5  その他医師が必要と認める検査


Ⅱ 定期健康診断

 ●1次検査

  1  既往歴の調査

     2  業務歴の調査

     3  自覚症状及び他覚症状の有無の検査

     4  オージオメータによる1,000ヘルツ及び4,000Hzにおける聴力検査

 ●2次検査1次検査の結果、医師が必要と認める者について行う

     1  オージオメータによる250、500、1,000、2,000、4,000、6,000、8,000Hzにおける聴力検査

     2  その他医師が必要と認める検査

(チェーンソー等以外の振動工具取扱い業務従事者に対し雇い入れの際または当該業務への配置替えの際に限る。)


Ⅲ 離職時等健康診断
 定期健康診断と同様

(注)定期健康診断は6月以内ごとに1回、定期に行うことが原則であるが、労働安全衛生規則第44 条又は第45条の規定に基づく定期健康診断が6月以内に行われた場合(オージオメータを使用して、1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査が行われた場合に限る。)には、これを本ガイドラインに基づく定期健康診断(ただし、オージオメータによる1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査の項目に限る。)とみなして差し支えない。
 また、第1管理区分に区分された場所又は屋内作業場以外の作業場で測定結果が85dB(A)未満の場所における業務に従事する労働者については、本ガイドラインに基づく定期健康診断を省略しても差し支えない。なお、オージオメータを使用して、1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査のみを行ったのでは、騒音性難聴のごく初期の段階では、所見なしと判定される可能性がある。したがって、2回の定期健康診断のうち1回は、1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける閾値を検査することが望ましい。
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