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2014-05-09
臨床検査-炭疽菌と炭疽について(話題)
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臨床検査-炭疽菌と炭疽について(話題)
                                        
        

炭疽菌は学名を Bacillus anthracis といいます。

 

炭疽菌はグラム陽性桿菌で、大きさは1×3~10μmと大きく、鞭毛がなく運動性もありません。通常土の中などでは、芽胞と呼ばれる殻のようなものをもち何年でも生き続けることができます。そして温度や湿度、酸素などの条件が整ったとき発育します。

 

炭疽という病気ですが本来は、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギなどの家畜や草食動物の伝染病です。人はこの病気にかかった動物の毛や皮などをから感染する場合があります。

 

人がこの病気に感染する三つの場合が知られています。

 

(1)皮膚

 

最も多く見られるもので、顔や首、腕など皮膚の露出している部分の傷から菌が入った場合です。2~5日の潜伏期間の後、丘疹ができ数日後には水疱状となっていきます。とくに痛みはありませんが、水疱は黒くなって潰瘍をつくり黒色痂皮をつくります。重症になると死にいたる場合もあります。

 

(2)気道(吸入)

 

芽胞を吸い込んだ場合です。1~5日潜伏期間の後、咳や発熱、筋肉痛、全身の倦怠感など症状があらわれます。この症状は軽快しますが、この後急速に進行して高熱や胸の痛み、呼吸困難が起こり死にいたる場合が多くあります。急速に進行した時の症状としては、胸部や首の皮膚の下に浮腫ができたり、胸水の貯留や髄膜炎を起こす時もあります。

 

(3)胃腸

 

人ではまれにしか発生しません。炭疽に感染した動物の肉を食べた場合です。症状としては食欲不振、発熱、嘔吐などから腹痛、血性下痢、ショックといった急性腹症と呼ばれる経過をとり死にいたる場合が多くあります。

 

( 診 断 )

 

炭疽菌をみつけだすことで診断します。

 

検査は水泡や潰瘍の内容物、痂皮、喀痰、胸水、糞便を培養したり、顕微鏡で観察したりして調べます。

 

( 治 療 )

 

ペニシリンが有効です。重症のものにはステロイドも用いられます。

 

( 予 後 )

 

抗生物質による治療により死亡率は低下していますが、肺に入った場合の予後は悪く、また胃腸に入った場合も髄膜炎を起こした場合の予後は悪くなっています。

 

( 予 防 )

 

炭疽菌に汚染されている可能性のあるものは、すべてにおいて処分、処理します。

 

感染した可能性が考えられる場合は薬の予防的投与をするのがよいと思います。

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